コラム「暮らしを彩る」


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vol.7 自然の音

山道の緩やかなカーブを曲がるごとに目に飛び込んでくる紅葉、それがナナカマドでした。いつも何気なく緑色の山を漠然と眺めていますがひとたび葉が色づくと、深紅の葉とまだ染まらない木々の葉が素晴らしいコントラストを作り出します。ナナカマドという名は、窯に入れて七回燃やしても燃え残ることから付けられたとのこと。

さあ、車から降りて深呼吸。野鳥に食べられずに少し残っている赤い実を見ながら注意深く川べりに下りてみましょう。
  水の流れの音がします。目に見えないものの気配を感じ取ろうとするのは、日本人特有の感性かしらなどと思いながら、水流の音だけを頼りに前進…。
  広島は街中から小一時間で山や川、海と、リフレッシュさせてくれる自然があることに感謝。少しドキドキしながら音を楽しみつつ進みます。

こんな時、体中の神経や聴覚がとても鋭くなっていることに気づきます。今や日常生活は人工的な音があふれています。自分の意思にはかかわりなく、音の洪水の中に身を置く環境といってもいいでしょう。

今や、どんな音源でも自由にダウンロードして、どこにでも持ち運べる時代になりました。鳥のさえずりや海岸に打ち寄せる波の音はもちろんのこと、目的に応じたヒーリングミュージックも数多く発売されています。私自身も原稿を書くとき、小鳥の声と川のせせらぎの音が内臓されたCDプレーヤーのスイッチを入れ筆を進めることがあります。

それはそれとして、心静かな時を過ごすことはできます。しかし、山々の色を見て、虫のかすかな羽音や川のせせらぎなどを聞き、風景と一体となってこそ初めて自然と交われるのではないでしょうか。特に、多感な子供たちは自然の中にどんどん入り、さまざまな経験をしてほしいと強く思います。

これからは野山で遊ぶ良い季節です。バーベキューを楽しむ時の炭火のバチバチという音、足元の枯葉を踏みしめる音、木の葉の揺れる音や鳥のさえずり、きっと自然からの感動的なプレゼントがあるはず…。


SOPHIA代表取締役 中田 満美

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