コラム「暮らしを彩る」


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vol.4 窓辺のオートクチュール

少し都心を離れると、新緑がみずみずしく、その生命を謳歌しているような美しさです。陽差しも日毎に強さを増し、初夏を感じる季節となりました。
住宅の窓辺には、住み手の思いが伝わるデザインレースがかけられ、その白い色にすがすがしさを感じます。

魅力的なインテリアには細部のディティールが大切です。例えば窓まわりの装飾など、単に生地とスタイルを選ぶだけでなく、縁に共布のフリルや同系色のトリムをつけたり、装飾用のレースやタッセル(房掛)をすることによって個性のある表現ができるようです。
  セミオーダー感覚で裏地を選んだり、バランス(頭部分の装飾)をつけることによって、重厚な雰囲気を醸し出すことができます。カーテンと言えば、映画『風と共に去りぬ』の中で、ビビアン・リー演じるスカーレット・オハラが、イブニングドレスを作るため、カーテンの布を代用しようとメードと相談する場面を思い起こします。
  確かに輸入のカーテン生地の中には、洋服地として使えそうな魅力的な色、柄が見られます。女性に人気のエトロのバッグ(ペイズリー柄)は、カーテンの産地として有名なイタリア北部のコモ湖近くで織られた生地を使っています。

ヨーロッパのプチホテルに泊まる時、その部屋の窓まわりの演出をとても楽しみにしています。シンプルな両開きのドレープであっても、バランスに共布のロゼッタ(花飾り状に布を絞り込んだもの)がついていたり、生地の柄の内の一色を裏地に使っていたりすることが多いようです。
ちょっと裏を返して見ると、すそや裏地が手でかがってあったりして、さすがに歴史の違いを感じさせます。凝った手作りなどの技術もオペラをはじめとする芸術のための衣装づくりに欠かせないものなのでしょう。
日本ではカーテンが建築寄りに位置づけられているためでしょうか、どうしても堅苦しいイメージがあります。時にはヨーロッパのように、服飾に近い感覚でタッセルや金物などの装飾も取り入れていただきたいものです。


SOPHIA代表取締役 中田満美

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