コラム「暮らしを彩る」


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vol.22 聖母の白いバラ

数年前にアメリカからヨーロッパにかけて、気ままなたびを楽しんだことがあります。
初夏の旅先では数多くの花たちとの出会いがありました。スイス・ツェルマットの駅の窓辺の花など、その愛らしい形やデリケートな色彩。自然の創造する美しさに、幾度となく新鮮なときめきを覚えたものです。
とりわけ印象深かったのは、フランスの超特急TGVに乗って訪れたベルサイユ宮殿の庭に、ひときわ美しく咲いていたバラの花でした。
フランス式庭園の緑の中を歩いていくと、ロココ様式が花開いた十八世紀半ば、ベルサイユ宮殿を舞台に登場した貴婦人たちの姿が目に浮かびます。当時の主人公を代表するルイ15世のお気に入りだったポンパドゥール夫人や、ルイ16世の王妃マリー・アントワネット。

二人ともバラについてのエピソードの持ち主ですが、極めつけといえるのはアントワネットの「バラの部屋」でしょう。王妃は白地にピンクのバラのブーケを織り込んだ絹地を、壁からベッドカバーに至るまで、ことごとくバラづくしの部屋として完成させようとしたのです。

しばしば花は人柄にたとえられたり、またヨーロッパなどでは家の紋章に使われたりすることがあります。歴史の中に多くのエピソードを残すバラの花は、その品種約3000種以上とも言われています。その中で、自分の最も似合うと思われる(好みの)バラを一種選んでおくのも、暮らしを楽しむエッセンスになるかもしれません。

聖母マリアの象徴とされる白いバラ。どこまでも白く汚れのない清らかな花姿は、見る人の心を和ませます。私は白いバラの中でも特に「ティネケ」が大好きです。よく人に贈ったり、自分のために飾ったりしています。ある時には花に気持ちを託して、さりげない表現をするのも人間関係の潤滑油となることでしょう。

バラは色も形も香りも完璧な美しい花です。バラを一輪挿しにアレンジする時は、葉を整理することが大切なポイントです。フラワーベースの色に気をつけ、英国式のトライアングルのフラワーアレンジは壁面に。テーブルの上なら一色だけ、または濃淡でダイヤモンドに…。上品なアレンジをお勧めします。


SOPHIA代表取締役 中田 満美

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