コラム「暮らしを彩る」


COLUMN  コラム

vol.2 コスモス

いつのころからでしょうか。秋風に揺れるコスモスの花をよく目にするようになったのは…。5、6年前までは、庭先や道路沿いに咲く、特に話題になる花ではなかったように思います。今では田んぼの空き地などに積極的に植えられるようになり、秋の花としておなじみとなりました。

コスモスは明治時代にわが国に渡来し、日露戦争後、急速に広まったのだそうです。日本では夏から秋にかけて咲く花として、涼しげなイメージがありますが、原産国は太陽の国、メキシコです。
この花は、桜の花形に似ているためか、和名は「あきざくら(秋桜)」と呼ばれています。物寂しげな感じがするのは冬に向かって咲くからでしょうか。野で見かける一株だけのコスモスに出会うと、駆け寄り、思わず手にとってあげたいような衝動にかられます。
月と太陽をテーマにした美術館を見学するために岡山県勝田郡の奈義町を訪れました。クレセント(三日月)型の展示館から屋上のデッキに出ると、北になだらかな稜線を描く奈義山が見えます。あたり一面、コスモスが咲き乱れていて、深紅、桃色、白の花びらが秋風に揺れる様子は、とても優しい雰囲気でロマンチックな気分にさせてくれました。
最近ではピンク系だけでなく、新種の黄花コスモスが出現しています。その代表選手が「サンセット」。まさに夕日のオレンジ色をしています。
コスモスを、自分の庭で切花として育てるとき、茎を適当な時期に地上に横倒しにすると、節から枝がたくさん出て立ち上がり、同じ高さで開花するのでとても都合が良いそうです。

ますます深まる秋、山に出かけて野の草花に触れる時、ふと原産地はどこかしらと気にかけてみる。すべてが日本の自然に溶けこんで見えるけれども、実は、ほとんどが何かのきっかけで国内に持ち込まれたものなのですね。草花の種から、この地球に国境のないことを教えられました。
さあ、コスモスを飾ってみましょう。フローリングの床の上、大きな背負いかご一杯に投げ入れます。あるいは木のいすの上に、ブルーのガラスのコンポートに剣山を使い、自然の姿をそのままに曲線を生かして…。


SOPHIA代表取締役 中田満美

ホーム> コラム> vol.2


バックナンバー

copyright© image consultant office SOPHIA all rights reserved