コラム「暮らしを彩る」


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vol.13 オータムカラー

朝焼けが次第に変化してゆく、その色の移ろいを視野に入れながら、朝食の支度をすることがあります。その時間帯は私にとって静から動へ、心身ともにスイッチを切り替えていく大切なひととき。毎日の生活の中で、色はベースとなり人を落ち着かせてくれたり、またある時は、アクセントとなって力強さを与えてくれたりします。

普段は無意識に身をおいている環境の色ですが、新しい土地に出かけるたびに、発見することが幾度となくありました。
家族でアリゾナからグランドキャニオンを目指して旅した時のこと。いつものように空港でレンタカーを手配しアリゾナのフラッグスタッフのホテルから出発しようとした朝、大雪に見舞われました。結局そこで足止めとなり、三日間の滞在中、目の前が銀世界で白一色の中に閉じ込められてしまったのです。

ようやく道が開通し、約一時間半走っていくと、土の色や大地の色が目前に迫ってきました。一面の銀世界からキラキラ光って見える金茶色のアースカラーへ。短時間の内に非日常的な色の変化を体験し、アメリカ国土の広さに驚いたものです。その大地の砂色、岩肌の色、さまざまな土地に、私はとても秋の色を感じました。ちょうど日本では、稲穂が低く頭を垂れるころ、田んぼ一面の実りがもたらされる季節だったからかもしれません。

青い空を切り取る地平線のラインや自分の回りに広がる風景は全く異質のもの。人は生まれた国や育った環境によって色のイメージを積み重ねていくのだろうと感じました。

帰路、上空から瀬戸内海に浮かぶ島が緑に覆われているのを見て、この高温多湿な日本固有の環境のベースカラーの大切さを考えずにはいられませんでした。


SOPHIA代表取締役 中田 満美

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